2021/9/15

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9月に入ってもう2週間も経ったなんて驚きと、終わっていないタスクの量を見てげんなりしてしまう。あまりにもこの1ヶ月は感情の起伏が激しくて、記しておきたい気も、でも忘れ去ってしまいたい気もして、なんとなく日記が書けないままに今に至ってしまった。でも、今日はどうしてもきちんと記録しておかねばならないと思った。

 

庭に住み着いていた野良猫2匹(キキとチビチビ)を今日、都内の保護犬・猫施設に送り出してきた。キキはかれこれ1年ちょっと実家の敷地内に住み着いていて、うちの猫や犬と仲良くはなかったけど、それなりにそれぞれのテリトリーを守りながら過ごしているようだった。まあいるだけならいいか、と思っていたけれど、初夏ごろに急にチビチビがやってきて、うちの猫の過ごしていた場所を取られるようになってきてしまっていた。キキはチビチビをよく面倒見ていて、実の子なんじゃないかと思うほどに毎日一緒にいた。だからか、うちの飼い猫と喧嘩をするようにもなってしまって(うちの子はチビチビが気に入らなかったらしい)、お互いに怪我をするようにもなってしまった。そして、家族の判断で、ここにはこれ以上うちには置いておけないという結論になった。

 

実家で働いていた人たちも餌付けしてしまってはいたものの、さまざまな事情から飼えないと言っていて(手術代もうちで負担したけど、餌代は出して病院費は一切出さないというのはどういうことなんだろう?)、ほかにも可能な限りで声をかけ続けたけど、いっこうに里親となってくれる人は現れなかった。市内や近隣団体にもアポを取って相談したけれど、なかなか埒があかなかった。そうこうしている間にもチビチビも成長してきていた。どうにか、愛情を持ってこの子達だけを見てくれる人はいないだろうかと探しまくったけど、近くでは全然見つけられなかった(基本、どの団体も受け入れはもう手一杯という状態)。仕方なく、東京でも調べ始め、本当にたまたま運良く空きが出た施設で引き取ってもらえることになった。事前にキキの去勢手術、ワクチン、虫下し、ノミダニ薬、血液検査、チビチビの1回目のワクチン(子猫の場合は2回接種するらしい)、虫下し、ノミダニ薬、血液検査を済ましていたので、追加の料金は支払わずに引き取ってくれた。今回引き受けてくれた団体では、保護をお願いする場合には基本1匹あたり30,000円程度支払うことになっているけれど、その金額がかかるはずのものをわたしたちは事前に済ませていたから追加料金がなかったということだ。(ちなみに、里親となる場合は1匹あたり60,000円程度支払うようだ。これを高いと感じる人もいるだろうけれど、日々の餌やトイレ用品代、病院代なんかに比べたら本当に一部でしかない。)

 

施設はとてもきれいなところで、他の犬や猫がそれぞれの部屋でまったりとしていた。スタッフさんの対応もとてもよく、どういう流れで里親が見つかるのかということをきちんと説明してくれた。今まで最長で施設にいた子は7ヶ月だったらしい。わたしたちは年単位で里親が見つからない可能性も考えていたから、最長でもその程度なら案外すぐに里親希望の人は現れるのではないかと思えた。さすが都会。

 

猫たちは長距離移動の末の新しい環境だからか、とても緊張しているように見えたけど、きっと時間の経過とともに少しずつ慣れてくれるはず。チビチビはおそらくキキがそばにいるからだろうけど、すでに安心して眠そうにしていた。早く今の場所に慣れて、いつもの愛らしい表情をたくさん見せてくれるといいな。そうしたらきっと一緒に暮らしたいと思ってくれる人が現れるはず。

 

私たちが今回やったことが猫たちにとっても本当によかったことなのか、それは正直わからないでいる。きっと今夜は緊張であまり眠れないだろうし。新しい家族や家が見つかるのか、そこで幸せに生きてくれるかもわからない。それでも今自分が調べられる範囲で、できる範囲のことは最大限やったつもりだ。今回の件で、動物を大切にするということがどういうことなのか、ということを何度も何度も考えたし、今も答えは出ていない。でも今はっきりと思うのは、「かわいい」「かわいそう」と思うことは誰でもできることで、でもそれは動物を家族に迎え入れることには直結しないということ。動物を家族に迎えるということはその子の命に責任を持つということで、命に責任を持つということは本当に大変なことだということ。毎日の生活のためにもお金がかかるし、定期的に病院へ連れていくことも必要だからそのお金も必要。動物病院は保険がきくことのほうが少ないから、特に大病や慢性的な病になったときには大金が必要だ。そして体調が悪ければその介護だってしなければならず、それは汚いことややりたくないことも含まれるかもしれない。それでも時間と労力を割かねばならない。わたしは本当に自分が一緒に生きてきた動物たちを愛しているけれど、愛しているからこそ1人暮らしのときは絶対一緒に暮らせないと思うし、経済的にも安定しなきゃ到底無理だって思う。

 

そしてこういうことの一部は野良猫にだって言えるのだ。ガリガリな野良猫を見てかわいそうだと思うその心情は本当によくわかるけれど、それで餌だけやるとなるとどんどん繁殖していってしまったり、その場所が野良猫の溜まり場になってしまったりする。そうなったときに、多くの場合「善意」で餌やりをしていた人は責任を取らない。猫たちの幸せを考えない。最悪、他の場所に捨てる人もいる。『千と千尋の神隠し』で釜爺が「手ぇ出すんなら、終いまでやれ!」と言うけれど、本当にそうだなと思う。一度関わってしまったなら、最大限できることをすべきだし、最低でも避妊・去勢手術だけでもやってあげるべきだと思う。生殖の自由をなくすことがいいことだとは思わないけど、現段階で人間と犬猫が共生するためにも、不幸な動物を生み出さないためにも必要な手段であり、必要な費用だ。

 

どうかこれから動物と暮らす決断をする人や野良猫に餌やりをしてしまっている人にはよくよく考えてほしい。わたしは1人暮らしの間は動物とは暮らせないと思ってるけど、誰もが不可能というわけでは必ずしもなく、自分に何かあったときに代わりに面倒見てくれる人を複数探すとか、そういうサービスに登録しておくとか(最近初めて知ったけど、万が一飼えない状況になってしまったときに引き取ってくれたり預かってくれたりする積み立て式のサービスがあるみたい。気になる人は調べてね。)、十分に貯蓄をしておくとか、準備と覚悟次第ではできることなんだとは思う。ただ、「かわいい」「かわいそう」の気持ちだけで動物の命を預かる人が少しでも減るように、とはやっぱり思う。

 

とはいえ、動物がいることが自分の生きる希望になったり、日常が鮮やかになったりはするので、動物と幸せに暮らせる人がたくさん増えたらいいなとは思う。

 

キキとチビチビも、新しい家族とあたたかい居場所が早く見つかるように、今はそう願うばかりだ。2匹がいなくなってしまった庭はどこかしんみりとしていて、写真を見るたびに寂しくて涙が溢れてくるけれど、これが最善だったと信じたい。そして、わたしはわたしの家にいる3匹に最期までありったけの愛情を注いでいきたい。

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NPO法人SPA ここが今回2匹を引き取ってくれたところ。そのうち里親募集がかかったらInstagramに2匹が載るはず。里親になることを検討している人は、もしよければのぞいてみてください。2匹にいい縁が巡ってきますように。