2021/6/15

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先週見つけた穴場のようなカフェ。3日前にまた行ったら、前回とは打って変わって誰もお客さんがいなかった。もともととても静かなカフェなのだけど、いっそう静かで、店内には自分と店主の方が生み出す音しか響いていなかった。一息つくとはこういうことだなと最近改めて思っている。一息つくのは1人でしかできないし、楽しいとか嬉しいとかとはまた異なる感情だ。頭の中でめまぐるしく飛び交っている感情や思考をいったん傍観する時間。真剣に向き合うととても疲れるから、ただ傍観するだけ。わたしにとって一息つくとはこういうことだ。そのためには家の外に出るのが一番手っ取り早い。自分の生活の形跡や匂い、質感、空気が漂うところではわたしはなかなか一息つけない。傍観したままではいられない。今の時期に積極的に外出することがいいことだとは思わないけれど、1人だからこそ場所を選んで生活から抜け出せるのだと思う。基本的には1人は楽だ。

 

今日はとっても大事な友人の誕生日だ。先月からずっと何を贈ろうか考えあぐねていた。ありがたいことに彼女はほしい物リストを公開してくれていたけれど、わたしは筋書き通りに物事を運ぶことが嫌いな捻くれ者だ。彼女がサプライズというものを喜んでくれるかはなんとも言えないけど、それでも何か思ってもみないものを送られて、それに対して少しでも喜んでもらえたらと思ったのだ。というわけで、あえて彼女が提示していたものではないものを贈ることにした。学生で基本的にお金に余裕があるわけではないからあまり高価なものは贈れないけど、それでも出せる範囲で良質なものを贈りたかった。せっかく京都にいるのだから、と最初は食べ物にしようかと思ったけど、配送に数日かかることを前提にすると選択肢が絞られてしまったから却下。(前日に買って送れればよかったのだけど…。)匂いものもいいけれど、贈り物にするには個人的にはかなりハードルが高いものだと思ってる。特に彼女は匂いの好みがちゃんとありそうだから。たくさん考えた結果、彼女の生活にそれとなく馴染むものを贈ろうと思い至った。決して豪勢なものでも煌びやかなものでもないけど、質がよくて、生活に突如現れてもなんら不思議ではないもの。でもほんのちょっと生活を豊かにしてくれる、そんなもの。以前からチェックしていた器やさんに行くことにした。本当は何店舗か見て、そのなかで良いと思えるものが見つかればというくらいの気持ちで出かけたのだけど、最初に訪ねたお店でドンピシャなものを見つけてしまった。そのお店は作家さんの器を販売しているところなんだけど、値段は良心的なものが多い印象だ。わたしが選んだのは真っ白なマグとソーサーのセット。一見とても地味に見えるけれど、その絶妙な形とデザイン性に私は一気に惹かれた。しかもそれを彼女が使っている情景もすぐに想像ができた。これだ!と思った。即購入して、自宅に戻って手紙を書いて、翌日彼女宛に送った。わたしが勝手に良いと思ったものだけど、彼女が気に入って使ってくれるといいな。新しい一年、彼女に幸福と光がたくさんふりそそぎますように。

 

普段この日記はSNSで更新をお知らせしたりしない。見てほしいという気持ちが前提ではないからだ。見られても大丈夫だけど、書いているのは生活のことや感情のことだからおもしろくないと思う。でも昨日は初めてお知らせをした。あまりにもしんどくて、きっと誰かに手を握ってもらいたかったのだと思う。寝る前に投稿予約をしてパソコンを閉じたけど、やっぱりやめようかと何度も思った。だって、わたしがしんどいと思っていることを誰かに投げかけても無意味というか、むしろ相手にもしんどい思いをさせてしまうかもしれないじゃないか。自分のしんどさが誰かを傷つける凶器にもなるかもしれない。そんなことを考えて、何度も編集画面を開いたり閉じたりしていた。でも結局、凶器になるかもしれないとかああだこうだ考えていたら予約時間が来てしまい、投稿されてしまった。誰かを傷つけたかどうかは知る由もないけれど、そうなっていないことを祈る。朝起きてTwitterを確認したら何人かの人がリアクションをくれていた。ほんとうにありがたかった。自分がほしかったのは現状を打開する「アドバイス」でもなければ、形だけの同情でもなかったのだ。ただそこに相手がいて、「大丈夫、ここにいるよ」と、そうひとこと言ってほしかっただけなのかもしれない。現実問題として、この悩みをすぐに打開できる解決法なんて存在していなくて、だからこんなにもしんどい。そして、もし「わかるよ」なんて言われてしまったら、わたしはその同情を燃やしたくなるだろう。どんなに善良な思いからその発言が来ていたとしても、「あなたにはわからないよ」と言ってしまったかもしれない。必要なのはそんなことではなかったのだ。今朝は本当に気持ちが安定している。よかった。互いの存在を確かめ合うこと、たったそれだけのことで安堵する瞬間は訪れるものなんだな。ありがたい、ほんとうにありがたい。